COLUMN
なぜ日本人は、貯金ばかりするのか?

日本銀行の比較資料によると、2026年3月末時点で、日本の家計が持つ金融資産のうち、47.2%が現金・預金です。アメリカは10.7%、ユーロエリアは31.1%。
日本では、家計の金融資産に占める現金・預金の割合が大きいことが分かります。
「日本人は金融の知識がないから」。そう言われることもあります。しかし、そんなに単純な話ではありません。
日本人が貯金を信じるようになったのには、理由があります。
昔は、貯金が正解だった
かつての日本には、銀行や郵便局へ預けておくだけで、今より高い利息を受け取れる時代がありました。
元本を大きく減らす心配を抑えながら、利息がつく。わざわざ値動きのある株式を買わなくても、貯金で資産をつくれたのです。
その後、バブルが崩壊しました。株価や不動産価格が大きく下がり、「投資は怖い」という記憶が残りました。
さらに、長いデフレが続きます。物価が上がらない時代には、金利がほぼゼロでも、預金の実質的な価値は大きく減りません。
だから、貯金は合理的な選択でした。親や祖父母から教わったことが、間違っていたわけではありません。時代に合っていたのです。
変わったのは、私たちではなく時代
今は、物価が上がっています。
利息を考えなければ、通帳に100万円と書かれているお金は、10年後も数字の上では100万円です。しかし、その100万円で買えるものが同じとは限りません。
預金は、金額が減りにくい。これは事実です。でも、買える量まで守ってくれるわけではありません。
「減っていないから安心」と思っている間に、お金の実力が落ちていく。これが、インフレ時代の怖さです。
貯金をやめればいい、ではない
だからといって、すべてのお金を投資に回すのも違います。
病気や失業への備え。数年以内に使う住宅資金や教育資金。近いうちに使う予定のあるお金は、預金で持っておくほうが安心です。
一方で、10年、20年先まで使わないお金まで、すべて預金に置いておく必要があるでしょうか。お金にも、役割分担が必要です。
すぐ使うお金は、貯金で守る。しばらく使わないお金は、リスクを理解したうえで運用も活用する。
答えは「貯金か、投資か」ではありません。どちらも必要なのです。
貯金好きは、弱点ではない
日本人には、お金を使い切らず、将来のために残す習慣があります。これは本来、大きな強みです。
問題は、貯めたお金の置き場所が、昔のままになっていることです。
貯金を否定する必要はありません。今までの「貯める力」に、「育てる知識」を加えればいい。
守り方を少し変えるだけで、お金の未来は変わります。
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